バナー広告の見積書で「1枚1,500円〜」と提示されても、実際の請求額はその10倍を超えることがあります。原因はサイズ展開とリサイズ費用の見落としです。本記事では2026年時点の単価相場と、発注前に必ず押さえるべき「1訴求=何枚」の設計思想を解説します。
バナー制作の1枚単価は2026年時点でいくらか
静止画バナーの単価相場は1枚あたり1,000円〜10,000円台が中心で、依頼先とサイズによって最大30倍の開きがあります。株式会社Grillが2026年7月時点で15サービスの公開料金を横断集計した調査によると、最安は1枚980円、最高は1枚30,000円からで、同じ「1枚」でも費用に30倍の開きがありました。
サイズ別に細かく見ると、価格帯は明確に分かれます。300px以下の極小サイズ(120×60pxなどスマートフォン向け)は主にスマートフォンでの表示を想定しており、費用相場は3,000円以下、550px以下の小サイズ(320×50pxなどGoogleディスプレイ広告で主流のサイズ)で4,000〜5,000円、900px以下の中サイズ(728×90pxのリーダーボードや160×600pxのワイドスカイスクレイパー)で5,000〜9,000円が目安です。
これに対し、アニメーションや動画形式は工数が跳ね上がります。動画形式(MP4等)のバナーの相場は20,000円〜50,000円以上で、簡易的な構成の場合は10,000円台から対応可能なケースもあります。訴求内容よりも「どの形式で作るか」が単価の主変数になっている点は、見積比較時にまず頭に入れておく必要があります。
依頼先による単価の違い
同じ静止画バナーでも、フリーランス・専門制作会社・広告代理店・クラウドソーシングで価格帯は変わります。クラウドワークスなどのクラウドソーシングは登録ワーカー数が多く、「大量のバナー制作」や「サイズ違いの展開(リサイズ)」などの単純作業を、低単価で一括発注するのに強みがあります。一方で訴求設計から任せたい場合は、バナーだけを扱う専門サービスは、テンプレート化された制作フローで短い納期と低単価を両立していますが、訴求の設計を一緒に考える工程は含まれないことが多い点に留意が必要です。
サイズ展開を無視した見積比較は破綻する
単価表だけで発注先を選ぶと、初月の請求で予算がショートします。理由は「1訴求=1枚」では配信が成立しないためです。
1つの訴求をディスプレイ広告とSNS広告の両方で配信するには、横長・スクエア・縦型・モバイル向けへのサイズ展開が要ります。メインバナー1枚とサイズ展開5枚の計6枚を「1セット」と数えると、代行を頼む訴求が3案でも初月に18枚が必要になります。ここで見積書の「1枚単価」だけを比較しても意味がありません。
Off Beatが累計200社以上・月間1,000本以上を制作してきた現場感覚では、ディスプレイとSNSを両方回すクライアントの標準的な発注単位は「1訴求あたり6〜10枚」です。訴求3案で18〜30枚、A/Bテストを走らせるなら初月40枚超が実質的な最小ロットになります。単価3,000円のバナーでも、40枚なら12万円。ここを最初に握らないと、後工程で「サイズ展開は別料金だった」という事故が起きます。
定額プランの本数カウントに要注意
定額制サービスを検討する場合、契約時に確認すべきは「本数の定義」です。定額制は月額固定で一定本数まで依頼できる形式で、2026年7月時点の相場は月額15,000円台から180,000円台と、同じ定額制でも10倍以上の幅があります。注意したいのは本数のカウント方法で、サイズ展開を1本と数えるかどうかで検証できる訴求数が変わります。「月20本」でも、リサイズ込みで20本なら訴求は3〜4案分にとどまります。
リサイズ費用は新規制作の何割が妥当か
リサイズ単価は新規制作の約半額が業界標準ですが、レイアウト再設計が必要な場合は同額に近づきます。バナーリサイズを代行会社に依頼する際にかかる費用の相場は2,000円〜4,000円程度で、多くの代行会社では、バナー制作の半額でリサイズを行っています。実際に新規デザイン30,000円〜、リサイズ10,000円〜という料金体系を採用している制作会社も存在します。
ただしリサイズは単純な拡大縮小ではありません。バナーリサイズは、バナーを縮小・拡大するだけではなく、サイズ変更後のバナーに合わせて、文字サイズやレイアウトを変更しなくてはいけません。もとのバナーよりも大きくリサイズする場合は、バナーに空白ができてしまうため、素材や文章を追加して、不自然にならないようデザインし直す必要があります。特に横長728×90pxから縦長160×600pxへの展開は、レイアウトの組み直しが必須で、実質新規制作に近い工数が発生します。
アスペクト比が近いサイズをグルーピングする
リサイズ費用を圧縮する現実的な手段は、アスペクト比でサイズをグルーピングすることです。1:1(1080×1080、250×250)、横長16:9系(1200×628、728×90)、縦長9:16系(1080×1920、160×600)の3グループに分けると、レイアウト設計は3パターンで済みます。1グループ内のリサイズは単純作業に近く、新規単価の30〜40%まで下げられるケースがあります。
Off Beatでは独自AIエージェント「Ad Loop」内の「Ad Gen」がグループ単位で自動リサイズを実行し、「Ad Check」が1,000件以上のルールで文字切れ・セーフゾーン違反・容量超過を自動検証します。人の目でチェックすると1枚10分かかる工程が数十秒に圧縮され、リサイズ単価を大幅に抑えながら初稿合格率80%以上の品質を維持できています。
2026年に最低限用意すべきサイズは何か
媒体別に「まず作るべきサイズ」が明確に決まっており、これを外すと単価交渉以前に成果が出ません。
Googleディスプレイ広告(GDN)は、レスポンシブディスプレイ広告の推奨画像は横長1200×628px、スクエア1200×1200pxで、2026年現在、Googleはレスポンシブディスプレイ広告を強く推奨しており、横長画像とスクエア画像を登録すれば配信面に合わせてサイズが自動調整されます。縦長画像(960×1200ピクセル)も適しています。まず横長・スクエア・縦長の3点を用意すれば、GDN側の主要配信面はカバーできます。
Meta広告(Facebook・Instagram)は2026年時点で優先サイズが変わっています。Meta公式ガイドに基づく2026年8月時点の情報では、まず作るべきサイズは縦長の4:5(1,440×1,800)で、現在のMeta公式は画像・動画ともフィード面の推奨を4:5としています。1:1ではありません。次に足すサイズは縦型の9:16(1,440×2,560)で、ストーリーズとリールをカバーできます。1:1スクエアを標準にしてきたチームは、この変更を反映しないと画面占有率で不利になります。
最小構成は「訴求×3サイズ」から
GoogleとMetaを両方回す場合の実務上の最小構成は、1訴求あたり以下の5〜6枚です。
- GDN横長 1200×628
- GDN/Meta共通スクエア 1200×1200
- Meta縦長フィード 1440×1800(4:5)
- Meta縦型ストーリーズ/リール 1440×2560(9:16)
- GDN縦長 960×1200
訴求3案なら初月18枚、A/Bで各訴求2パターン用意すれば36枚。単価4,000円換算で初月14.4万円が「最低ライン」です。この水準を前提に見積を並べ替えると、単価だけ安いサービスと総額で安いサービスは別物だと分かります。
費用対効果を最大化する発注設計
単価を下げるより、「同じ予算でPDCAを何回転させられるか」で発注先を選ぶ方が最終的な広告成果は大きくなります。
重要なのは制作サイクルの短さです。訴求案の消化速度が上がれば、勝ちクリエイティブに到達するまでの日数が縮まり、同じ月間予算でも配信効率が変わります。Off Beatでは最速1営業日での初稿納品を標準サイクルとしており、「Ad Brain」が企業様毎の過去修正履歴・成功パターンを蓄積しているため、修正回数が発注ごとに逓減する仕組みになっています。累計200社以上のデータから、3ヶ月継続クライアントは初月比で修正回数が平均40%減少し、実質単価が下がる構造です。
さらにバナー制作の費用を抑えたい場合には、写真などの素材をきちんと用意しておくこと、モデル撮影の場合などを除き自社で用意できるものは少なくないため、素材を用意し具体的なバナーのイメージをあらかじめ固めてから依頼することで、コミュニケーションコストとリテイク回数を圧縮できます。ブランドガイドライン・NGワード・過去の勝ちクリエイティブを事前共有できているクライアントほど、初稿合格率が高い傾向があります。
次の一歩:見積書の「1枚単価」を「1訴求総額」に翻訳する
バナー制作の費用管理で真っ先に着手すべきは、社内の見積比較シートを「1枚単価×枚数」から「1訴求あたり総額(新規+リサイズ+修正込み)」に組み替えることです。この単位で並べると、単価980円のサービスと単価4,000円のサービスで、総額が逆転するケースが珍しくありません。
配信媒体をGoogleとMetaに広げるほど、必要サイズは増え、リサイズ費用の設計が全体コストを左右します。Off Beatでは「Ad Gen」による高速リサイズと「Ad Ops」の配信データフィードバックを組み合わせ、月間1,000本以上の制作を初稿合格率80%以上で回しています。バナーの本数不足がPDCAのボトルネックになっている場合は、まず現行の1訴求あたり総額を算出し、必要枚数と単価構造の再設計から着手してみてください。
