急速に成長するOTT広告市場において、プラットフォーム固有のクリエイティブ要件を理解し、効果的な広告制作を行うことが重要になっています。日本国内のCTV広告市場規模は、サイバーエージェントの2024年国内動画広告の市場調査によると、2026年に1,655億円に達すると予測されています。これは2023年の740億円から約2倍以上の成長を示しており、デジタル広告市場の中でも特に注目される成長分野となっています。本記事では、主要なOTTプラットフォームであるTVer・ABEMA・Netflixの具体的なクリエイティブ要件と制作のポイントを詳しく解説します。

TVer広告のクリエイティブ要件と制作ポイント

TVer広告は、民放5社が運営する見逃し配信サービスで、2026年時点で月間アクティブユーザー数4,470万人を誇る国内最大級の動画配信プラットフォームです。

技術仕様と入稿規定

TVer広告の基本的な入稿規定は以下の通りです:

  • 動画尺:6~60秒(任意設定可能)
  • アスペクト比:16:9固定(テレビ放送の比率と同じ)
  • フォーマット:MP4推奨
  • 解像度:FullHD 1920×1080以上

TVer広告の一番の特徴は、動画の完全視聴率の高さです。テレビCMと同様にスキップできないということもあり、広告動画の完全視聴率はどのデバイスでも95%以上になっているので、広告が表示されればほぼ最後まで視聴されると考えてよいでしょう。

審査基準と制作時の注意点

TVer広告は民放各局のコンテンツに広告が流れるため、テレビCMと同水準の審査を通過しなければ出稿できません。そのため、広告素材だけではなく業態や商材についても基準を満たさなければならず、審査基準は一般的なWeb広告よりも厳しいと言えます。

審査では以下の点が重視されます:

  • 景品表示法の遵守
  • 薬機法の遵守(健康・美容関連商材)
  • ユーザーの誤動作を誘発しない表現
  • 過激な表現や誤解を招く表現の回避

ABEMA広告のクリエイティブ要件と制作ポイント

ABEMAは、サイバーエージェントとテレビ朝日が共同出資する無料動画配信サービスで、特に若年層に人気があります。

技術仕様と入稿規定

ABEMA広告の主な入稿規定:

  • 対応尺:15秒/30秒(60秒・90秒も対応)
  • フォーマット:MP4
  • 解像度:FullHD 1920×1080
  • コーデック:H.264
  • アスペクト比:16:9

ABEMA広告では厳しい入稿規定が定められており、それを満たすクリエイティブでないと入稿できないため注意してください。他媒体で使用していた動画をそのままABEMAで使用できない場合があるため、事前の確認が重要です。

制作時の重要ポイント

ABEMA広告はスキップされない仕様とはいえ、魅力的な広告動画を用意しなければユーザーの興味を惹きつけることはできません。ユーザーに最後まで広告を見てもらうためには、冒頭3秒で視聴者の注意を引く工夫をし、15〜30秒の短時間でメッセージを伝えきる構成にするのがおすすめです。

ABEMA広告の広告の表示タイミングと平均視聴完了率は91%と高い数値を記録しており、コンテンツの起承転結に合わせた最適なタイミングで広告が挿入されます。

審査と配信スケジュール

広告審査は配信開始希望日の10〜15営業日前までに依頼するのが望ましいです。業態考査と素材考査の両方が実施され、テレビCM用のクリエイティブと同様の厳格な審査基準が適用されます。

Netflix広告のクリエイティブ要件と制作ポイント

Netflixは2022年11月に広告つきプランを導入し、現在は「広告つきスタンダード」プランで広告配信を行っています。

技術仕様と入稿規定

Netflix広告の基本仕様:

  • 動画尺:15秒または30秒
  • アスペクト比:16:9 解像度:1920×1080(一部1280×720可)
  • フォーマット:指定フォーマットに準拠
  • 同一キャンペーン内での動画素材は3つまで入稿できます

Netflixの動画広告はすべてスキップ不可(ノンスキッパブル)であるため、確実にメッセージを届けられるのが特徴です。

制作における特徴と注意点

Netflixは没入感を重視しており、広告挿入の回数や尺に制限があります。そのため、1インプレッションごとのクリエイティブの質が問われます。単に出稿するだけでなく、ターゲットに響くメッセージや映像表現、短い尺の中でも伝えたいことを凝縮するといった効果的な設計により、広告の成果が高まります。

Netflix広告では、プレミアムな作品や配信環境により視聴者に好印象を与えるハロー効果が期待できるため、高単価商材(自動車や高級家電など)に最適とされています。

出稿プロセスと審査

掲載開始の9営業日前に広告素材を入稿し審査が行われます。禁止コンテンツ: 政治、ギャンブル、ヘイトスピーチなど、特定のカテゴリに関する広告は制限・禁止されています。

OTT広告クリエイティブ制作の共通ポイント

冒頭3秒の重要性

スキップ不可の広告フォーマットでは特に、最初の数秒で視聴者の興味を引くことが重要です。OTTではスキップできる広告が多いため、最初の数秒でユーザーを惹きつけるような動画設計が必要です。

大画面視聴への対応

テレビ画面での視聴を前提としたクリエイティブ制作が必要です。スマートフォン向けとは異なり、大画面での視認性や音声を活かした表現を心がけましょう。

ターゲティングを活かした制作

OTTでは、分析されたユーザーデータによって精密なターゲティングが可能です。そのため、ただ広告を配信するだけではなく、制作段階から情報を伝えたいターゲットを絞った動画広告を制作することで高い効果が期待できます。

ABテストの実施

15秒、30秒、60秒など、複数の尺でのABテストが標準化されており、UGC風のクリエイティブも効果的とされています。

まとめ

OTT広告市場の急成長に伴い、各プラットフォームの特性に合わせたクリエイティブ制作がますます重要になっています。TVer・ABEMA・Netflix それぞれに固有の要件と特徴がありますが、共通して高品質なクリエイティブと戦略的な制作アプローチが求められます。

マーケターの32%はプロが制作したプレミアムな動画に配信するOTT広告をメディアプランに含めており、今後もこの傾向は続くと予想されます。

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